配偶者が亡くなったあと、「義父母や義兄弟姉妹とは、これ以上関わりたくない」「法律上の関係も整理したい」と考えることもあるでしょう。
配偶者が亡くなっても、亡くなった配偶者の血族との姻族関係は自動的には終了しません。
姻族関係を終了したい場合に必要になるのが「姻族関係終了届」です。
この手続きは一般に「死後離婚」と呼ばれることもありますが、亡くなった配偶者と離婚する制度ではありません。
この記事では、姻族関係終了届とは何か、義理の家族との関係をどこまで整理できるのか、手続き方法、相続や名字への影響まで、わかりやすく解説します。
🍀安心ポイント
姻族関係終了届は、配偶者と死別したあとに、生存配偶者本人が、亡くなった配偶者の血族との法律上の姻族関係を終了するための届出です。
義父母や義兄弟姉妹など相手側の同意は必要ありません。
また、提出期限もありません。
📌この記事でわかること
- 姻族関係終了届とは何か
- 義理の家族との関係をどこまで終了できるのか
- 義父母などの同意は必要か
- 相続や扶養にはどう影響するのか
- 名字や戸籍はどうなるのか
- いつ、どこに届け出るのか
- 「死後離婚」とは何が違うのか
義理の家族との関係を終わらせる「姻族関係終了届」とは?
配偶者と死別したあとも、義父母や義兄弟姉妹との姻族関係はそのまま残ります。
この法律上の関係を終了したい場合に利用するのが「姻族関係終了届」です。
配偶者が亡くなっても姻族関係は自動では終わらない
夫婦の一方が死亡した場合でも、生存配偶者と亡くなった配偶者の血族との姻族関係は継続するとされます。
たとえば、夫が亡くなった場合でも、妻と夫の父母や兄弟姉妹との法律上の姻族関係は残ります。
これを終了させるのが姻族関係終了届です。
相手の同意なしで本人だけで届け出られる
届出をするのは、生存している配偶者本人です。
義父母などの承諾を得たり、相手と一緒に役所へ行ったりする必要はありません。
「死後離婚」は正式な制度名ではない
姻族関係終了届は「死後離婚」と呼ばれることがありますが、亡くなった配偶者との婚姻を離婚扱いにする制度ではありません。
終了するのは、自分と亡くなった配偶者の血族との姻族関係です。

姻族関係終了届を出すと何が変わる?
「義理の家族と縁を切りたい」と考えている場合、姻族関係終了届によって法律上の姻族関係を終了することはできます。
ただし、できることには範囲があります。
義父母・義兄弟姉妹などとの姻族関係が終了する
届出が受理されると、生存配偶者と亡くなった配偶者の血族との姻族関係が終了します。
法律上の親族関係まで残しておきたくないと考えている場合に利用できる制度です。
姻族であることを前提にした法律上の関係がなくなる
姻族関係終了届を出すと、亡くなった配偶者の血族とは、姻族としての法律上の親族関係がなくなります。
義父母との関係について、「法律上も関係を残したくない」と考えている場合に利用できる手続きです。
姻族関係終了届を出しても変わらないこと
姻族関係を終了しても、すべてが変わるわけではありません。
人間関係そのものを強制的に断つ制度ではない
姻族関係終了届を出したからといって、
- 相手と会ってはいけない
- 連絡を取ってはいけない
- 交流を続けてはいけない
ということになるわけではありません。
反対に、届出を出しただけで相手からの連絡などが自動的に止まるわけでもありません。
法律上の姻族関係と、実際の人間関係は別の問題です。
名字は自動で旧姓に戻らない
姻族関係終了届を出しても、名字が変わったり、新しい戸籍に移ったりするわけではありません。
ただし、姻族関係を終了した事実は戸籍の身分事項として記録されます。
婚姻前の名字に戻りたい場合は「復氏届」
配偶者の死亡後に婚姻前の名字へ戻したい場合は、別に「復氏届」を提出します。
姻族関係終了届と復氏届は別の手続きになります。
| 手続き | 主な目的 |
|---|---|
| 姻族関係終了届 | 義父母などとの姻族関係を終了する |
| 復氏届 | 婚姻前の名字に戻る |
子どもと祖父母との関係は変わらない
自分が姻族関係終了届を出しても、子どもと亡くなった配偶者側の祖父母などとの血族関係がなくなるわけではありません。
つまり、自分の姻族関係を終了する届出であって、子どもの親族関係まで終了させる手続きではありません。
亡くなった配偶者の相続には影響しない
姻族関係終了届を提出しても、亡くなった配偶者についてすでに開始している相続が取り消されるわけではありません。
配偶者として相続した財産を返さなければならなくなる手続きでもありません。
また、すでにある借金や契約、共有財産などの問題まで、届出によって自動的に消えるわけではありません。
扶養や相続で誤解しやすいこと
義父母だから当然に扶養義務があるわけではない
「将来、義父母の介護まで自分がしなければならないのでは」と心配して、この制度を調べる方もいるかもしれませんが、義理の親だからというだけで、当然に扶養義務が生じるわけではありません。
ただし、民法では、直系血族や兄弟姉妹以外の三親等内の親族については、特別な事情がある場合に家庭裁判所が扶養義務を負わせることができるとされています。
姻族関係終了届は、このような姻族としての法律上の関係そのものを終了する手続きです。
姻族であるだけでは義父母の法定相続人にならない
義父母に多額の借金があるなど、「将来、自分まで相続に巻き込まれるのでは」と心配する方もいるでしょう。
しかし、姻族であるというだけでは義父母の法定相続人にはならないので、配偶者の父母が亡くなっても、生存配偶者が「義理の子だから」という理由だけで、その財産や借金を相続することはありません。
そのため、義父母の相続人にならないために姻族関係終了届を出す必要はありません。

姻族関係終了届はいつ・どこに出す?
提出期限はない
姻族関係終了届には提出期限がありません。
配偶者が亡くなった直後に急いで決める必要はなく、時間がたってから届け出ることもできます。
届出先
届出先は、生存配偶者本人の
- 本籍地
- 所在地
の市区町村役所です。
必要なもの
基本となるのは「姻族関係終了届」です。
必要書類や受付方法は自治体によって確認事項が異なる場合があるため、提出する前に市区町村の公式サイトや戸籍担当窓口で確認すると安心です。

姻族関係終了届を出す前に確認したいこと
義理の家族との関係に長く悩んでいる場合、「できるだけ早く縁を切りたい」と思うこともあるでしょう。
一方で、姻族関係終了届には提出期限がありません。
何を終わらせたいのか整理する
「義理の家族と会いたくない」という気持ちと、「法律上の姻族関係も終了したい」という希望は同じとは限りません。
まず、
- 法律上の関係まで終了したいのか
- 名字も婚姻前に戻したいのか
- 子どもと義父母の交流をどう考えるのか
などを整理してみましょう。
提出後に何が変わるか確認しておく
姻族関係終了届は、「少し距離を置きたい」というだけの手続きではありません。
法律上の姻族関係を終了させる届出なので、提出前に制度の意味を確認しておくことが大切です。

よくある質問(FAQ)
Q1.配偶者が生きていても姻族関係終了届を出せますか?
出せません。
姻族関係終了届は、配偶者が亡くなったあとに、生存配偶者が亡くなった配偶者の血族との姻族関係を終了するための届出です。
Q2.義父母の同意は必要ですか?
必要ありません。
生存配偶者本人が届け出ます。
Q3.いつまでに提出すればよいですか?
提出期限はありません。
配偶者の死亡後、自分が姻族関係の終了を希望するときに手続きできます。
Q4.届出を出すと旧姓に戻りますか?
戻りません。
婚姻前の名字に戻る場合は、別途「復氏届」が必要です。
Q5.姻族関係終了届を出せば相続トラブルを避けられますか?
相続トラブル全般を解決する制度ではありません。
姻族であるという理由だけで義父母などの法定相続人にはなりません。
すでにある相続や借金などの問題は、それぞれ別に確認する必要があります。
Q6.「死後離婚」と同じものですか?
「死後離婚」と呼ばれることがありますが、正式な制度名ではありません。
亡くなった配偶者と離婚するのではなく、亡くなった配偶者の血族との姻族関係を終了する手続きです。
まとめ
配偶者との死別後、「義理の家族とはもう関わりたくない」「法律上の関係も整理したい」と考える事情は人それぞれです。
姻族関係終了届を提出すれば、亡くなった配偶者の血族との法律上の姻族関係を終了できます。
相手方の同意は必要なく、提出期限もありません。
一方で、
- 人間関係そのものが自動的に断たれるわけではない
- 名字は自動的に変わらない
- 子どもと祖父母などとの関係には影響しない
- 相続や金銭問題のすべてが解消されるわけではない
といった点には注意が必要です。
「何を終わらせたいのか」を整理し、制度によって変わることと変わらないことを確認したうえで判断しましょう。
📚参考資料


